コラム

COLUMN脇ボトックスをすると何故わき汗は止まるのか。ワキのニオイ(ワキガ)の対策効果などについても詳しく解説

ボトックス注射は手軽な美容治療の一つとしてとても人気で、表情筋によるシワの改善やエラのハリを解消する事での小顔整形など様々なお悩みの解消に使用されています。
そんなボトックス注射による効果の一つが汗を止める事による「多汗症」の改善ですが、なぜプチ整形で人気のボトックス注射が汗を止める効果を持つのか、またボトックス注射による脇のニオイの対策効果がどの程度なのかなど、詳しく解説します。

ボトックス注射とは

ボトックス注射とは、ボツリヌストキシンという毒素の一種を原料とした薬剤を注射する治療です。
毒素を原料にしていると不安に思う方もいるかもしれませんが、人体に悪い影響が無いように精製が行われており、過去数十年、世界中で治療が行われていますが注射によるトラブルは殆ど存在せず、非常に安全な治療となっています。

ボトックスという名称はボツリヌストキシン製剤のうちの一つの名称で、アラガン社の保有する「ボトックスビスタ」という商品名なのですが、ボツリヌストキシン製剤の中でも唯一厚生労働省の認可を受けている事や、古くから広く使用されている薬剤という事からボツリヌストキシン製剤を用いた注射治療が「ボトックス注射」と一般的に呼ばれています。
ボツリヌストキシン製剤には、ボトックスビスタ以外にも「ゼオミン」「コアトックス」「ニューロノックス」など複数の種類があります。

ボトックス注射の効果

ボトックス注射はよく「眉間のシワ」や「目尻の笑いジワ」などを、表情筋を緩めることで改善したり、エラの筋肉である咬筋の働きを抑えて緩めることで小顔を作るといった治療で使用されるため、筋肉の働きを抑えるものと思われやすいのですが、正確にはアセチルコリンという神経伝達物質の働きを阻害する事で、神経の働きをブロックする治療です。

筋肉は神経から電気信号を受け取って動いているため、神経の働きを止めると自動的に筋肉も動かす事が出来なくなる事から表情筋の働きを抑えるというボトックス注射の効果が得られるのですが、同様に汗腺も神経からの信号によって働いているため、ボトックス注射によってブロックする事ができます。
汗腺は汗を作って分泌する役割を持っているため、この働きがブロックされると汗が分泌されなくなります。
これにより、脇や手のひら、顔などでの汗を止めるという治療を行う事ができるのです。

脇などの汗止めボトックスは数か月で効果が切れる

ボトックス注射をうつと神経の働きを止める事が出来ますが、これは体から見れば「ダメージを受けて損傷している」という状態。
体は神経が正常に働く状態に戻そうという回復機能が働き、数か月から半年程度で徐々に機能を取り戻していきます。

そのため、ボトックス注射の効果は治療後数か月程度で無くなっていき、最終的には治療前と同じ状態に戻ります。
効果の切れ方はある日突然完全に元に戻るものではないので、徐々に汗をかくようになっていき、元の状態に戻るといった形です。

効果を持続させるためには定期的に治療を受け続ける必要がありますが、注意点としてあまりにも短い期間で繰り返しボトックス注射を受けてしまったり、一度の治療での注射量が多かったりすると、薬剤に対する抗体が作られて治療の効果が弱くなってしまう可能性があります。
注射は一定期間を空けて打つ必要があるため、継続する場合は医師の指示にしっかりと従うようにしましょう。

汗を止めると他の部位からの汗が増える「代償性発汗」とは

汗を止めるボトックス注射では、代償性発汗という症状が生じるケースがあります。
代償性発汗とは、主に手のひらの多汗症を汗の分泌を行う神経の切断によって治療した際に他の部位で汗をかきやすくなるというもので、ボトックス注射による治療でも稀に生じるものです。
ただし、脇のボトックス注射で代償性発汗が生じる事は殆どないとされていますので、脇の汗止めボトックスではあまり心配する必要はありません。

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脇ボトックスによる多汗症治療は保険適用となるケースもある

脇に汗を多くかく体質を「腋窩多汗症」とよびますが、この症状が重度で日常生活に支障があるような場合には、脇ボトックスでの治療が保険適用となるケースもあります。

保険適用の場合、両側での治療費は3割負担で2~3万円程度で受ける事ができますが、症状などが下記に該当する必要があります。

腋窩多汗症へのボトックス治療が保険適用で受けられる条件

まず、「局所的に過剰な発汗が、明らかな原因のないまま6ヶ月以上続き」という状態に当てはまり、さらに「以下の6項目のうち2項目以上にあてはまる症例」である必要があります。

  1. 左右対称性に発汗を認める
  2. 睡眠中は発汗が止まっている
  3. 週1回以上の多汗のエピソード
  4. 家族歴がみられる
  5. それらにより日常生活に支障をきたしている
  6. 最初に症状が出たのが25歳以下

また、上記が当てはまる上で症状の程度が下記のうちの3,4に該当する場合は保険適用での治療が可能となります。

  1. 発汗は全く気にならず、日常生活に支障がない
  2. 発汗は我慢できるが、日常生活に時々支障がある
  3. 発汗はほとんど我慢できず、日常生活に頻繁に支障がある
  4. 発汗は我慢できず、日常生活に常に支障がある

重要な点としては「日常生活」に「支障がある」かどうかという点で、脇汗によりすぐに衣服が汚れてしまって頻繁に着替えなくてはならないなどの状態である事が保険適用での治療が可能かの判断基準となっています。
実際に保険適用での治療となるかどうかは医師の判断によりますので、まずは一度治療を取り扱うクリニックに相談してみると良いでしょう。

※城本クリニックでは保険適応での治療は行っておりません

自費診療であれば誰でも脇ボトックスが可能

脇ボトックスによる腋窩多汗症の治療が保険適用の対象となるケースは実際には稀であり、どちらかというと「日常生活に支障があるというほどでは無いが脇汗は止めたい」という方が治療を受けるケースが殆どです。
この場合は自費診療による治療となりますが、ボトックス注射は比較的低価格で受ける事ができる薬剤も多くありますので、保険診療の場合と大幅に変わらない金額で同様の治療を受ける事も可能といえます。
具体的にどの程度の費用がかかるかなどは症状の程度やクリニックによって変わりますので、まずは直接クリニックのカウンセリングを受けてみましょう。

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ボトックス注射はワキガ(腋臭症)の改善にも効果がある?

脇の悩みとして多汗症と同じように多いものが、ワキガです。
ワキガは「スパイシーなにおい」や「鉛筆のようなにおい」と表現されるような、比較的強い体臭が脇からでてくる症状で、多汗症と同様に体質によるものであり、人から人に感染するような症状ではありません。

ワキガの原因は主に「アポクリン汗腺」と呼ばれる汗腺から分泌される汗で、多汗症で問題となるような水分の多い汗ではなく、タンパク質や脂質が多く含まれたドロッとした汗です。
人の体には水分の多い汗を出す「エクリン汗腺」とアポクリン汗腺という2種類の汗腺があり、エクリン汗腺は体中の殆どの部位(唇や外耳道など一部を除く)に存在していますが、アポクリン汗腺は脇や外陰部など体の一部にしか存在していません。
また、アポクリン汗腺の発達は遺伝に左右され、日本人ではアポクリン汗腺が発達する遺伝を持つ人の割合が少ないためワキガ体質の人が少数ですが、欧米諸国などではむしろワキガ体質の人の割合が多いため、ワキガの体臭がある事が普通という場合もあります。

ワキガの特有なニオイは、アポクリン汗腺からの汗に含まれる豊富なタンパク質や脂質を栄養として増殖する皮膚の常在菌によって作られるものであるため、汗の分泌と細菌による分解という2つの条件が満たされる事で発生します。

ボトックス注射は治療部位における神経の働きを止めるため、エクリン汗腺からの汗だけではなくアポクリン汗腺からの汗分泌も抑える働きとなりますので、ワキガの症状を改善する効果も発揮します。

ただし、汗の分泌を完全にストップ出来なかったり、細菌の増殖を止めるものでは無かったりといった点から、脇ボトックスだけではワキガのにおいを軽減は出来ても完全に解消は出来ない事もあります。
ワキガの治療を行う場合はアポクリン汗腺を除去する手術などがより効果的ですので、そうした治療を含めて最適な治療法を検討する必要があります。

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脇の多汗症やワキガの症状を根本から解決する手術

ワキガなどの症状を根本から解決するためには、剪除法(皮弁法)と呼ばれる手術が最も効果的です。

剪除法は皮膚を切開して一度裏返し、エクリン汗腺やアポクリン汗腺を直接目視で確認しながら一つずつ除去していくという手術で、汗腺を一つ一つ取り除いていくため時間がかかる手術ではありますが、確実にワキガや多汗症の症状を解消する事ができます。

ただし、脇ボトックスのように注射だけで完結するような治療ではありませんので、術後の一定期間は脇の下にガーゼなどを入れて皮膚がずれないように固定する必要があるなど、ダウンタイムが生じるという点がデメリットとなります。

ボトックス注射は注射部位に軽い腫れや内出血が生じる事はありますが、日常生活については注射直後に入浴や激しい運動など体が温まるような事を避ける必要がある程度で特に行動への制限がありませんので、治療後しばらく安静にすごす事が難しいような場合であればボトックス注射で症状を抑え、ダウンタイム期間をすごせる状況となった際には手術で根本的な治療をしてしまうといったような対策が良いでしょう。

どのような治療法が適しているかはお悩みの症状がどの程度であるのかや、生活習慣などにもよって一人ひとり異なりますので、まずは専門の医師にご相談ください。
医師の診察やカウンセリングを受ける事で多汗症やワキガの症状がどの程度であるかを客観的に知る事もできますので、それだけでもお悩みの軽減に繋がる場合もあります。

城本クリニックでは医療資格を保有しないカウンセラーなどはおらず、必ず経験豊富な医師が症状の診断と最適な治療のご案内をいたしますので、まずは是非一度お気軽にご相談いただければ幸いです。

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本コラムの監修医師

1978/04:富山医科薬科大学医学部医学科入学
1984/03:富山医科薬科大学医学部医学科卒業
1984/06:大阪市立大学医学部付属病院研修医
1986/04:大阪市立大学大学院医学研究科外科系外科学専攻
1990/03:大阪市立大学大学院医学研究科外科系外科学修了
1990/04:田辺中央病院医長
1991/04:城本クリニック

医学博士 / 日本美容外科学会専門医
第105回日本美容外科学会 会長
城本クリニック総院長 森上和樹

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